配偶者控除と扶養控除は、いずれも所得税や住民税の控除項目であり、税負担を軽減するための制度であるが、その対象や条件には違いがある。以下にそれぞれの違いを説明する。
配偶者控除
配偶者控除は、納税者の配偶者が一定の条件を満たす場合に適用される税控除であり、納税者の税負担を軽減する目的で設けられている。
- 定義: 納税者の配偶者が、一定の所得制限内に収入がある場合に適用される控除。配偶者が控除の対象となる。
- 対象者: 納税者の配偶者(夫または妻)が対象となり、配偶者の年間所得が一定額以下であることが条件である。配偶者の年間所得が38万円以下(給与所得者の場合は103万円以下)である必要がある。
- 控除額: 控除額は、所得税の場合は38万円、住民税の場合は33万円となっている(2024年の基準)。
- 例: 主に夫が働き、妻が専業主婦である場合、妻の年間所得が38万円以下であれば、夫は配偶者控除を受けることができる。
扶養控除
扶養控除は、納税者が扶養している家族(親族)が一定の条件を満たす場合に適用される税控除であり、納税者の税負担を軽減する目的で設けられている。
- 定義: 納税者が扶養している家族が、一定の所得制限内に収入がある場合に適用される控除。扶養家族が控除の対象となる。
- 対象者: 扶養親族(16歳以上の子供、親、兄弟姉妹など)が対象で、扶養親族の年間所得が48万円以下であることが条件である(給与所得者の場合は103万円以下)。
- 控除額: 控除額は、所得税の場合は38万円(扶養親族が16歳以上の場合)、住民税の場合は33万円(扶養親族が16歳以上の場合)となっている。扶養親族が学生などである場合には、控除額が異なる場合がある。
- 例: 子供が学生であり、年間所得が48万円以下であれば、親は扶養控除を受けることができる。扶養親族の収入が一定額以下でなければ控除が適用されない。
具体例を交えた違いの説明
例えば、夫婦であれば、夫の収入がある中で妻が専業主婦であり、妻の年間所得が38万円以下であれば、夫は配偶者控除を受けることができる。一方、夫が両親を扶養しており、両親の年間所得が48万円以下であれば、夫は扶養控除を受けることができる。配偶者控除は配偶者に対しての控除であり、扶養控除は家族全般に対しての控除であるため、対象者や条件が異なる。
簡単にまとめると:
- 配偶者控除: 納税者の配偶者が一定の所得制限内に収入がある場合に適用される控除。配偶者の年間所得が38万円以下であることが条件。
- 扶養控除: 納税者が扶養している家族が一定の所得制限内に収入がある場合に適用される控除。扶養親族の年間所得が48万円以下であることが条件。